町内会防災対策32~防災マップづくりの実践編:行政地図を“生きた地図”に変える方法~

行政地図を“生きた地図”に
「行政のハザードマップはあるけれど、うちの町内の“リアルな危険”は載っていない」 この言葉は、町内会の防災活動に取り組む中で何度も耳にしました。
確かに、行政が作成するハザードマップは、広域的な災害リスクを示すには有効ですが、町内の細かな危険箇所や住民の動線、支援体制までは反映されていません。そこで必要になるのが、町内独自の「防災マップ」です。
この回では、住民の目線で作る“生きた地図”の作成方法と、全国の成功事例を交えながら、町内会での実践的な防災マップづくりを紹介します。
🧭ステップ①:町内を歩いて「危険箇所」を洗い出す
まずは、実際に町内を歩いてみることから始めましょう。地図だけでは見えない“現場の危険”を、住民の目で確認することが重要です。
通学路の狭い道や見通しの悪い交差点
普段通る道でも見直すといろいろ問題点が見つかります
倒れそうなブロック塀や老朽化した看板
なかなか言い出せない他人の家のブロック塀の危険性
雨で冠水しやすい場所や雪で滑りやすい坂道
普段の生活の中で気になる点を掘り起こします
夜間に暗くて見えづらい場所や避難所までの障害物
昼間は安全に見える個所も夜になると高齢者にとって危険個所に
長野県松本市では
町内会が「危険箇所ウォーク」を実施。 高齢者、子ども、障がい者の視点で町内を歩き、写真とメモで記録を取りました。
参加者からは「普段気づかなかった場所が、災害時には危険になると分かった」との声が多く寄せられました。
🗺ステップ②:地図に落とし込む
次に、洗い出した情報を地図に落とし込みます。紙地図でも、Googleマイマップなどのデジタルツールでも構いません。重要なのは、誰が見ても分かりやすく、使いやすいこと。
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危険箇所、避難所、消火器、AED設置場所などを記載
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色分けやアイコンで視認性を高める
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高齢者や子どもにも分かるよう、やさしい表現を心がける
福岡県久留米市では、町内会が「防災マップづくりワークショップ」を開催。住民が手書きで地図を作成し、後日デジタル化することで、紙とデジタルの両方で活用できるようにしました。
📣ステップ③:共有と更新
作った防災マップは、作って終わりではありません。定期的な更新と、住民への共有が不可欠です。
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回覧板、町内会報、LINEグループなどで配布
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年1回の「防災マップ見直し会」を開催
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子ども向けに「防災マップクイズ」や「探検ゲーム」も効果的
東京都世田谷区では、町内会が「防災マップアプリ」を導入。
住民が危険情報を投稿できる仕組みを構築し、リアルタイムで地図が進化するようになっています。
🧩「地図をつくること」は“町を知ること”
防災マップづくりは、単なる地図作成ではありません。それは、町内の課題を発見し、住民同士のつながりを深める“対話の場”でもあります。
地図を通じて、「誰がどこに住んでいて、どんな支援が必要か」を共有することで、災害時の行動が格段にスムーズになります。
次回は、第17回「災害時の情報伝達と連絡体制」。情報が命を左右する災害時に、町内会でどんな仕組みを整えておくべきかを掘り下げていきます。

