「日本教育」7月号~教育現場でのAI利用~

昨年の日本教育7月号は、「生成AI どう向き合うか」の特集であった。3名の方が寄稿されていたことを思い出した。

松原仁教授(東京大学・はこだて未来大学)

 先生には以前「はこだて未来大学」におられた折に、日本教育会の全国大会の講師をお願いしに伺ったことがあった。(残念ながら、この大会はコロナ感染予防の時期でもあり中止)

 先生の研究室に入ると「鉄腕アトム」の等身大フィギュアが出迎えてくれた。ロボット・AIの研究をされていた先生は、無邪気な子供のようにロボット・AIについて語られていたことを思い出す。

 松原先生は、生成AIとの向き合い方について「道具としてうまく使う」ということを提唱なさっていた。

藤川大祐教授(千葉大学)

 先生は、「生成AIを学びの道具・」と提唱されている。この視点は現在のAIの利活用のベースになっている考え方であろう。さすがに学校現場に近いフィールドで研究をされている藤川先生である。

安井正樹准教授(札幌国際大学)

 安井准教授は、小学校教員から大学に移られて、現在は道徳の指導のエキスパートとしてモデル授業を行ったり指導法の執筆を行う他、NHKの教育番組の編纂・監修にも携わっておられる方である。

 じつは、生成AIを活用した授業・活用事例を大学の教員養成コースで指導したり、学校現場での生成AI活用の模擬授業などを行ったりしているマルチな才能あふれる実践者でもある。

 先生は「授業や公務での活用の可能性を探る」ことを提唱し、とくに、「メンターとして活用する」ことを提唱されている。AIが教員支援にも役立つ可能性を示唆した興味深い研究をされている。

 お三方の提言は、今読み返しても納得できる内容である。まったく今に生きるご提言だと感心する。もし2024年7月号がない方はバックナンバーを申し込まれるとよい。 

2025年7月号の提言はいかがだろうか?

 三氏の提言は、多様性に富んでいるといえるだろう。

寺島史朗氏(文科省初中局学校情報基盤・教材課長)

 「これからの社会を見据えた学校現場における生成AIの適切な利活用について」という題でポイントを整理されている。

「1.生成Aiとは」で生成AIのガイドラインに沿って解説されている
「2.学校現場における利活用の基本的な考え方」で、2つの基本的な考えを。
「3.場面や主体に応じたポイント」「4.ガイドラインの内容を踏まえた生成AIの利活用」の諸注意が示されている。

 今後の利活用の指針としてしっかりと読みこんでほしいと思う。そのうえで実践されることを期待したい。

松本博之氏(印西市教育DX専門官)

 松本氏は、慎重な取り扱いを求めている。

「生成AI活用の教育的方向性」で委員会と学校が連携しながら探ることを
「生成Aiの導入を学校組織の課題として」とらえることの重要性
「生成AIで育てる」ことを基本に置くように提言されていることがポイントであろう。

野村公郎統括校長(千代田区立九段中等教育学校)

 野村校長は大胆な取り扱いを試行している事例となっているようだ。

 「九段探求プラン」「ICT教育環境と教育DX」「生成AIシステムの開発」「生成AIの利活用」など、独自の解釈で取り組まれている。経過をしっかりと注視していきたい。

全体的な感想

 生成AIの活用については、まだまだ試験的な取り組みを慎重に進めていく方がよいのではというのが率直な感想だ。

 AI自身が多様化・変化している発展段階にあるものなのだから、乗り遅れまいと必死に進むことは問題になるかもしれない。使える場面を吟味してそのことだけに使ってもよいのではないか。

 流行に乗り遅れまいと必死に進むことを文科省は推奨していないことは明確なのに、なぜ、振り回されるのかがわからない。

 もっと教育は慎重にあるべきで、しっかりとした検証の上で進めるていねいな教育課程を望む。

「霞が関だよりから

 文科省初中局教育課程課長の武藤久慶氏は、以前からブラックカリキュラムや意味のないことで時間の浪費をする間違った教育課程について大変危機感をお持ちだった。

 機会あるごとにその無駄な慣習を排除することが教育課程や学びの時間確保につながると言及されていた。

 最後に「公教育の第一線で活躍する「プロフェッショナルの流儀」が感じられる提案や討議の連続が見たい」と結んでいる。この言葉の未来をしっかりと考えたいものである。

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